Ｗｅｂ連載小説（１０２）【ユメの行方】見知らぬ若い男がライブにケチをつけてきた

Ｗｅｂ連載小説（１０２）【ユメの行方】見知らぬ若い男がライブにケチをつけてきた
　ｅｐｉｓｏｄｅ　１０２　Ｄｅｃｅｍｂｅｒ　１９８１　［ｃｏｏｌｙ］作・桜井鉄太郎　ｂｌｕｅ　ｒｏｓｅの奥にあるＶＩＰルームはグラスが割れるすさまじい破壊音とともに、怒声が飛び交う修羅場となっていた。火種は春田義一と見知らぬ若い男だった。　「てめえ、どこのもんだ！　なめたら承知しねえぞ。この野郎！」　怒声の元は義一だったが、戦いの分は若い男の方にあった。怒鳴り散らすばかりの義一に対して、一言も発せず薄笑いを浮かべながら冷静に的確なパンチを叩き込んでいくこの男はただ者ではないように誰もが思えた。　義一とて麻布界隈ではちょっとは知られた喧嘩上手である。その義一と互角以上の勝負を張れる者はそうそういないはずだ。　「そこらへんでいいだろう。これ以上店に迷惑かけるんじゃねえ」　暴れ狂う２人の間に入って見事収めたのは、地鶏一郎だった。　自分の店を破壊する２人に怒り狂ってその渦中に飛び込もうとするオーナーの筑前修を制して、地鶏は難なく騒ぎを沈静化させてしまった。　「原因は一体なんだったんだ」　地鶏が双方に尋ねると、「いやあ、この野郎がね、俺らのライブにケチつけやがって、ガタガタ言ってくるから頭にきちまって張り倒したら、こいつこんな涼しい顔してるくせにいきなり目の前のグラスを叩き割って俺に向かってきたんですよ。それからあっという間に大乱闘でさあ」　やや冷静になった義一がそう言うと、目尻から血を流した涼しい顔の若者は相変わらず笑みをたたえながら話し始めた。　「ここの店面白いですねえ。気に入ったなあ。このお兄さんの歌はいただけないが」　「何だとこの野郎！」　義一は自分の歌をくさされ、ドスを利かせて若者に迫った。再び険悪な空気になりそうな気配を地鶏は再びさっと制し、涼しい若者に語り続けさせた。　「申し遅れましたが、僕は山室陽介。どうしてもロックをやりたくて青森から出てきました。プロの歌手になりたくて…。さっきからこの人たちのライブ見てて、ああこの程度のレベルなのかと思って、このお兄さんに俺にも歌わせてくれ、とお願いした次第なんですよ」＜続く＞［登場人物］幾田トキオ（２８歳）：Ｔｈｅ　Ｒｅｂｅｌ　を背負って立つ音楽プロデューサー筑前修（３２歳）：カフェバーｂｌｕｅ　ｒｏｓｅのオーナー古澤大樹（２８歳）：ロック・バンド、ファルコンズのボーカリスト。実は元ヤクザ者の春田義一地鶏一郎　（３０歳）：元グループサウンズのスター山室陽介　（２７歳）：Ｃｏｏｌなロックシンガー◇　１９８０年代初め、アートや文学、映像、そして音楽にポップなものが革命的に登場した。１９８１年に始まる日本のポップ／ロックシーンからクラブムーブメントまでの時代を実際に生きた青年、幾田トキオを主人公に描くのが、このドキュメントフィクション「ユメの行方」である。　物語の舞台はレコード業界と芸能界、それらを結ぶ西麻布の街。トキオに絡むのは、西麻布の街を変幻自在に闊歩したミュージシャンや業界関係者たち。いずれも個性的な面々だ。　執筆者は、来年、結成２０周年を迎える音楽ユニット「Ｃｏｓａ　Ｎｏｓｔｒａ（コーザ・ノストラ）」を始め、アイドルからクラブミュージック、アンダーグラウンドまでノンジャンルで手がけるミュージシャン・音楽プロデューサー。【バックナンバーはこちら】Ｗｅｂ連載小説【ユメの行方】
http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-column/news/20100528/enc1005281304000-n1.htm
ファミコン時代の「熱血硬派くにおくん」シリーズ。
あれは類をみない名作でしたね。みんなでめっちゃやってました。。
時代劇、ダウンタウン、熱血行進曲、びっくり新記録、素晴らしい作品
でした。久々にやろうかなｗｗｗ

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