Ｗｅｂ連載小説（８５）【ユメの行方】私の母の悪口言わないでくれる？

Ｗｅｂ連載小説（８５）【ユメの行方】私の母の悪口言わないでくれる？
　ｅｐｉｓｏｄｅ　８５　Ｄｅｃｅｍｂｅｒ　１９８１　［ＢＢ］作・桜井鉄太郎　「それでヒビキンは私の小さいころから何となくそばにいたわけね。ところでトキオクン、私の母の悪口言わないでくれる？　それにヒビキンがうまく複雑な人間模様の謎を解き明かしてくれてるんだから変なチャチャ入れないで！」　ナギはピシャリと幾田トキオの横やりを封じ込めた。　「とにかく加川誠率いる＜マコト塾＞はものすごい影響力を持つ私塾のような形で発展していったんだ。誠さんはプロデューサーとして大きな力を発揮していき、日本のジャズシーンでも広くその実力を評価されるようになっていったのさ。この俺もやがてギタリストとしてはちょっとは知られる存在になったんだが、ある出来事が原因で左手に怪我をしてしまってギターをあきらめなくちゃなんなくてね。それでなぜか刑事なんかになっちまったのさ」　「さっきヒビキンさんが語ってた３年前のクリスマスの夜のセッションで飛び入りでギターを弾いたのって、もう左手の状態は大丈夫だったんですか？」　またナギにどやされないかとトキオは恐る恐る口を開いた。　「俺が怪我したのは左手の小指でね。今でも麻痺してるんでジャズの複雑なやつは駄目なんだが、ＢＢキングスタイルのブルースは得意でね。よく弾いている姿もＢＢに似ているって言われるぐらいなんだ」　得意げにヒビキンは頬をゆるめた。　「やっと話が３年前に戻ったところで、皆、腹が減らねえか？」　音次郎がつぶやくように提案した。　そういえば、強い酒を飲むばかりで誰もがそろそろ空腹を覚えていた。　そのとき、店に眼光鋭い１人の男が入ってきた。＜続く＞［登場人物］幾田トキオ（２８歳）：Ｔｈｅ　Ｒｅｂｅｌ　を背負って立つ音楽プロデューサー加川渚（２２歳）：愛称ナギ。歌手志望の女子大生日比野欽一（４２歳）：元警視庁刑事。現ブローカー南音次郎（４０歳）：西麻布を取り仕切る音楽プロデューサー　◇　１９８０年代初め、アートや文学、映像、そして音楽にポップなものが革命的に登場した。１９８１年に始まる日本のポップ／ロックシーンからクラブムーブメントまでの時代を実際に生きた青年、幾田トキオを主人公に描くのが、このドキュメントフィクション「ユメの行方」である。　物語の舞台はレコード業界と芸能界、それらを結ぶ西麻布の街。トキオに絡むのは、西麻布の街を変幻自在に闊歩したミュージシャンや業界関係者たち。いずれも個性的な面々だ。　執筆者は、来年、結成２０周年を迎える音楽ユニット「Ｃｏｓａ　Ｎｏｓｔｒａ（コーザ・ノストラ）」を始め、アイドルからクラブミュージック、アンダーグラウンドまでノンジャンルで手がけるミュージシャン・音楽プロデューサー。【バックナンバーはこちら】Ｗｅｂ連載小説【ユメの行方】
http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-column/news/20100420/enc1004201254000-n1.htm
突然ですが、パソコンはやっぱりデスクトップがいいですよね。。
何よりカスタマイズが可能だし、キーボードが打ちやすい！



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